利便性の良い都内の賃貸物件でさえ、30%もの空室率に悩んでいる日本の住宅事情。高齢者の資産が子供世代にシフトする速さがどんどん加速する中で、今後10年以内に最低でも40%以上もの家屋が空き家になると言われている。

地価は、駅近の優良物件であればさほど値下がりはしないと言われているが、普通の家の場合は相続を受けても売却できず、誰かに貸そうにも借り手がいない、といった状況に憂慮する人が溢れかえるのだろう。

資産に投資するつもりでマイホームを購入するという考え方が成立していた頃は、たとえ銀行から30年返済のローンを組んで家を購入しても、高騰する土地価格が利息を補填してくれた。が、今は違う。「家を買いました」という人のほとんどは理解していないのか、今、銀行から借金をして家を買うということは負債に投資する事と同じである。「買いました」と言っても、その家が本当に自分のものになるのは30年後だという事実にフタをして、錯覚に喜んでいる人がまだまだたくさんいるのである。家は、自分の貯蓄高の10%くらいの物件を、キャッシュで買うのが正しい買い方なのであるが。

そうこうしているうちに、十数年くらい前からか、家の貸主と賃借人の間に、ただ金が欲しいだけの者か、あるいは法定金利を下げられて業務を銀行に奪われたサラ金業崩れが、「家賃を滞納したときに保証します」という謳い文句で滑り込んできた。

 

家賃保証会社

家主が、人に家を貸すということは、その人の社会生活の根本的な部分を共同で運営するということと変わりない。

家主にも、家主としての適性、民事的な知識、そして責任感が求められるべきである。

他人に家を無料で貸すなら別である。が、少なからず減価償却率と照らし合わせて賃料を決め、損の無いように、あるいは利益が出るように、家賃設定をしているはずである。「貸してやる」という態度は、戦後、住むところが無い時代の地主がそうだったらしいが、今の時代、貸してやるのではなく「条件が合えば住んでください」という気持ちを少しでも意識しつつ、「お借りいたします」という意識の賃借人と契約し、互いに損得を共有しなければ円満な賃貸借関係など結べないはずである。

賃料を滞納したりすれば、当人同士が話し合い、折り合いをつければいいだけである。人間、生きていれば何かしらの出来事に見舞われて経済的に苦しくなる時もあるだろう。なのに、子供じゃあるまいし、テレビや漫画に出てくる大家さんみたいに怒鳴らなければならないという決まりに従って、あたふたする。そのような、何かあった時、今の日本人は弱いし、無知なので、心臓を痛めるくらい杞憂してしまう。だから、貸す側には適性や知識、責任感、欲を言えば人格がなければならないのだ。住んでいる側はそこで社会生活を営んでいるのに、少し賃料を延滞すると極論に走る思考と、心の弱さが、賃貸保証会社という、変な業態を世の中に蔓延らせることになったのだ。

彼らは、賃料の1か月分、もしくはそれ以下の手数料を「借りる人」から徴収して、連帯保証人の役を買う。

貸主の利益、貸主の安心、貸主のリスク軽減につながるのに、契約するのも金を出すのも借主という、これもまたブザマな事を通すための不自然な契約形態だが、誰もおかしいと思わないらしい。

金融業者は他人に金を貸して利息を取るが、家賃1か月分相当の金利を現在の法定金利内で稼ぐには元金リスクが大きすぎる。よって、家賃保証をし、滞納したらそこに金利を付け、貸主も黙らせ、というか貸主以上の立場でものを言い、業者によっては家から住人を追い出したり、脅迫したりして、結局、法外な利息、手数料、弁護士費用などを上乗せして徴収する。

悪質な事例はたくさんあるし、私もよく彼らと戦ったが、あまりにも強引な商法であるがゆえに、ものごとの筋が全く通せない取立てばかりだった。が、金がすべての日本人。「滞納」が、何よりも悪なのだ。何を話しても、滞納している人が一番悪いということしか考えられない人ばかりの世の中で、私の言っている事を理解(滞納の正当化ではないよ?)できる頭の人はまずいない。

滞納している人には何をしても良い。もちろん、違法行為を行う場合はバレてはならないが、賃貸保証会社のスタッフは、相手が、何をされたら嫌がるか、何をされたら音を上げるか、ということばかり考えている人種である。脳が石のようになって当たり前なのだろうが、最近の弁護士もそうだが、債権の取り立てを仕事としている人はどこかに暗さを持っている。私は必ず、「そんな仕事してたらおかしくなるよ?早いとこ辞めて人に喜ばれる仕事を探した方が良いよ?」と、言うようにしている^^

そこで、大家さんは、本来ならば、賃貸保証会社に頼らずに自分の才覚で賃貸業をするか、大家の側が賃貸保証会社と契約を結ぶべきと思うのだが、法的な整備として考えるならば、家賃保証会社は免許制にするべきである。が、それで取立てを仕事に選ぶ人間の質が変わるわけではない。よって、地方自治体が、空き家対策として、保証を付ける。ということは非現実的なのだろうか?

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